ブランドを一代で巨大コングロマリットへと育て上げた創業者、齊藤寛氏。工場直販によって中間マージンを極限まで削る「ファーム・ファクトリー」構想は、かつて日本の流通革命と称賛された。だが皮肉にも、その強烈なトップダウン体制こそが、自浄作用を失わせる温床となっていた。
株式会社シャトレーゼ、そして親会社であるシャトレーゼホールディングスの社内では、創業家主導の絶対的な指示に対して異論を挟めない硬直した企業風土が醸成されていたとされる。現場が課題を訴えても上層部には届かず、数字の達成だけが至上命題とされる環境下で、企業コンプライアンスは形骸化していった。
カリスマ経営者が築き上げた成功体験への過信。それが、急成長した巨大組織を統制するための内部統制システム構築を遅らせ、今回の致命的なガバナンス不全を引き起こした根源にある。