洗練されたトークや知的な言葉遊びが主流となった現代において、身体全体を使って笑いをもぎ取るスラップスティック喜劇の価値はむしろ高まっている。転ぶ、ぶつかる、よろめく。一見すると古典的で荒削りに見えるアクションの裏には、ミリ単位で計算された間合いと、相手役との研ぎ澄まされた信頼関係が存在する。
舞台上で繰り広げられる激しいドタバタ劇は、計算された緊張と緩和の連続だ。生身の人間が舞台上で限界までエネルギーを放出し、観客の感情を直接揺さぶるライブ感。これこそが、どんなに精巧なCGや編集技術でも再現できない「生の喜劇」の神髄であり、劇場を満員にし続ける最大の理由である。