彼の演技の骨組みを作ったのは、間違いなく小劇場の濃密な空気感だ。劇団「ONEOR8」のメンバーとして長年舞台に立ち続けてきた経験は、彼の身体感覚とセリフの間(ま)に決定的な影響を与えている。観客との距離が目と鼻の先にある劇場では、一切の誤魔化しが効かない。息遣いひとつ、視線の微細な揺れひとつが物語の温度を左右する。
舞台上で培われたその圧倒的なリアルさは、カメラを通した映像の世界でも強烈な武器となった。大げさなアクションを起こすわけではない。ただそこに立ち、ぼそりとつぶやくだけで、その場に流れる時間を一変させてしまう。演劇界で磨かれた「空間を支配する力」こそが、彼の原点だ。