ハード面の整備にとどまらず、南大町駅周辺ではソフト面の地殻変動も起きている。駅周辺の空き家や古民家を改装し、地元の新鮮な野菜を使ったベーカリーや、北アルプスの伏流水で仕込むクラフトビールバーを立ち上げる若手起業家が相次いでいるのだ。
「大糸線の車窓から見える風景と、この駅の静けさに惹かれて移住を決めた」と語る30代のオーナーシェフの店には、週末になると地元住民と観光客が入り交じり、心地よい賑わいが生まれている。かつてはシャッターが目立った駅前通りに、新しい暖簾と笑顔が増えていく。駅という存在が単なる「乗降場」を超えて、地域コミュニティと外部のプレイヤーが出会う開放的なサードプレイスとしての機能を果たし始めている。