坂本慎太郎のサウンドは、ここ数年で劇的なグローバル展開を見せている。アメリカの老舗レーベルからのディストリビューションや、世界中の熱心なヴァイナル・ディガーによる再評価だけではない。ストリーミングサービスの普及が、その越境を決定的なものにした。
Spotifyをはじめとする配信プラットフォームでは、欧米やアジア圏のプレイリストに日常的に彼の楽曲が並ぶ。海外のフェスティバルに出演すれば、日本語の歌詞を現地ファンが大合唱する光景も珍しくなくなった。言葉の壁を軽々と無力化してしまうファンクネスと哀愁が、国境を超えて人々の身体を揺らしているのだ。
さらにカルチャーシーンに決定打を与えたのが、アニメーション映画『音楽』への参加だ。坂本は主人公・研二の声優を担当。楽器を触ったこともない不良少年たちが衝動のまま音を鳴らす様を描いたこの傑作は、国内外で絶賛を浴び、Netflixなどのプラットフォームを通じて世界中でカルト的な支持を獲得した。声の演技ひとつをとっても、彼にしか出せない脱力と凄みが作品の骨格となっている。