路地を埋め尽くす古着屋の群れは、いまや東京屈指のアパレル・ヴィンテージ古着産業の一大集積地として機能している。アメリカやヨーロッパから直接買い付けられた1点モノのミリタリーウェアから、80〜90年代のバンドTシャツ、さらには気鋭のアップサイクルブランドまで、多種多様な美意識がひしめく。特に下北線路街周辺の裏通りには、看板を出さずに口コミだけで営業する隠れ家的なヴィンテージショップが点在し、熱心なファッショニスタたちの巡礼地となっている。
そして、古着巡りで乾いた喉と空腹を満たすのは、下北沢名物のスパイスカレーだ。毎年秋のカレーフェスティバルのみならず、年間を通じて各店が独創的な一皿を競い合っている。現地取材で訪れた路地裏の名店では、週替わりで提供される限定の「無水チキンと芳醇花椒のスパイスカレー」に行列ができていた。カルダモンの鮮烈な香りと複雑な出汁の旨味が絡み合う一皿は、カルチャーの実験場であるこの街の味覚そのものである。