郵政民営化を語る上で避けて通れないのが、小泉純一郎首相(当時)と経済財政政策担当大臣を務めた竹中平蔵氏の存在だ。2001年に発足した小泉内閣は、「官から民へ」「地方へ」をスローガンに掲げ、長年聖域とされてきた郵政事業の抜本的な解体に踏み切った。
最大の狙いは、単なる郵便局の効率化ではなかった。本質は、郵便貯金と簡易保険に集まる国民の資金が、旧大蔵省の資金運用部を通じて特殊法人や公共事業へ湯水のように流れ込む「財政投融資(財投)」の構造を断ち切ることにあった。官製金融が市場を歪め、非効率なインフラ投資を生んでいるという痛烈な批判である。この一連の流れは、単なる組織再編ではなく、国家のあり方を根本から再設計する行政改革の象徴だった。
2005年、関連法案が参議院で否決されると、小泉首相は衆議院を解散。「郵政民営化に賛成か、反対か」の一点のみを国民に突きつける劇場型の選挙戦を展開し、自民党は歴史的圧勝を収める。こうして同年に成立したのが郵政民営化法である。