2022年春、那須の地に鎮座していた巨大な「殺生石」が真っ二つに割れたというニュースは、世界中のSNSを駆け巡った。当時のネット空間は「封印が解かれた」という軽妙な騒ぎに包まれたが、それから4年が経過した2026年、現地が辿った軌跡は笑い話では済まされないほどの経済的・文化的インパクトをもたらしている。
地元自治体が推進した「AR歴史体感プロジェクト」や、現地の伝統芸能と現代表現を融合させた体験型夜間イベントは、国内外から記録的な人波を呼び寄せた。那須町観光協会の関係者は「かつては歴史好きやシニア層中心だった参拝客の顔ぶれが、今や欧米や東南アジアからのZ世代を中心とするグローバルな若年層に一変した」と語る。破裂した石の破片を前に、スマートフォンをかざす観光客たちの姿は、伝統的な霊場がデジタルと融合した象徴的な光景だ。