おにぎりと素手の関係を語る上で欠かせない文化的作品がある。それが映画『かもめ食堂』だ。劇中で主人公が心を込めて素手で握るおにぎりは、人々の心を癒す温もりとして描かれ、多くの視聴者に深い印象を残した。
しかし食文化研究者でありおにぎりのトレンドに詳しい三浦洋介氏はこう指摘する。「手塩を素手でつける行為には温かみや情緒がある一方、現代社会においては安全性と衛生面が最優先される。ラップを使うことは単なる省力化ではなく、誰もが安全に最高のおいしさを再現するための合理的な進化だ」。映画が描いたノスタルジーと、現代の衛生志向が見事に融合した結果が、いまのラップおにぎり技術の隆盛なのだ。