この重厚な祝祭文化の礎を築いたのは、徳川家康の信任を得て八王子の町割りを行った名代官、大久保長安だ。甲州街道の宿場町として整備された直線道路は、今日の大規模な山車巡行を可能にする舞台装置となった。宿場町と絹織物産業が生んだ富が、職人たちの精巧な技を育み、山車の彫刻や豪華な幕を支えてきたのだ。
街道沿いの特設舞台で披露される伝統芸能・民俗行事の数々も見逃せない。特に、国指定重要無形民俗文化財である「八王子車人形」の公演は圧巻だ。ろくろ車と呼ばれる小さな車に腰掛け、一人で一体の人形を操る独特の技法。繊細かつダイナミックな人形の動きは、観客を一瞬で江戸情緒の世界へと引き込む。