史実における蒙驁の足跡を紐解くと、作中の描写以上に極めて重要な役割を果たした名将であったことが浮かび上がる。『史記』の記述によれば、彼は斉国から秦国へと移籍した後、数々の城を攻略し、秦の東進政策において決定的な功績を積み重ねた。韓や魏、趙の都市を次々と陥落させ、秦国の領土拡大に大きく貢献している。
そして気になるその最期だが、史実では紀元前240年、病によってその生涯を閉じたと記録されている。戦場で華々しく散る猛者たちが多い中で、大将軍として天寿を全うし、老齢まで軍の重鎮であり続けたこと自体が異例の偉業だ。劇中においても、孫の信や蒙恬、そして愛息たちに未来を託しながら静かに息を引き取るシーンは、読者の涙を誘う名場面として語り継がれる。史実の行間を見事に埋めたストーリー展開は、史実を知る歴史ファンをも深く唸らせる完成度を誇る。