現行の講義において特筆すべきは、天皇徳仁さまと皇后雅子さまが持つ並外れた学究的バックグラウンドだ。天皇陛下は中世瀬戸内水運をはじめとする交通史・水問題の研究者であり、国際会議でも自ら英語で基調講演を行われる現役の研究者肌。一方の皇后雅子さまもまた、国際経済と外交分野に深い知見を持たれる。進講者が語る一言一句に対し、両陛下が深く頷き、時に配布資料の特定箇所に視線を落とされる仕草には、学者同士の無言の対話のような深みが宿る。
儀式が終了した後、皇族方と進講者が別室で言葉を交わす懇談の場が設けられる。そこでは儀礼的な挨拶にとどまらず、専門的な掘り下げや鋭い質問が飛び交うという。最高権威の儀式でありながら、学問の自由と探求の純粋さがそこに共存している。