旅人たちの守護聖人として世界中で根強い信仰を集める一方で、1969年にバチカンが公表した暦の改訂において、彼の記念日はカトリック教会の全般的な祝日カレンダーから除外された。実在を裏付ける歴史的証拠が極めて乏しく、その伝説の多くが地中海沿岸の民話や古代の説話要素と混ざり合って形成されたと判断されたためだ。
「犬の頭を持つ巨人」として描かれた初期の異端説話から、キリストを運ぶ「聖なる担い手」へと変貌を遂げたプロセスには、政治的・宗教的な図像学の複雑な意図が隠されている。歴史学者たちが指摘する真実と、民衆が求めた希望のギャップこそが、今回のアートハウス映画における最大のテーマとなっている。