時計の針を数年前に巻き戻そう。高知県須崎市がニホンカワウソをモチーフに生み出した「しんじょう君」は、愛くるしい表情と頭に載せた名物の鍋焼きラーメンで、ゆるキャラグランプリ王者へと上り詰めた地域おこしの至宝だった。自治体と市民に愛される理想的なご当地マスコットとして、その地位は盤石に見えた。
だが、同じデザイナーの手によって描かれた「ちぃたん☆」の登場が、すべての歯車を狂わせる。見た目こそしんじょう君と瓜二つだったが、その精神性はまさに真逆。高所からの突起物落下、壊れるスケートボード、危険な重機との衝突——狂気すら漂う体を張ったパフォーマンス動画はTikTokやX(旧Twitter)で爆発的に拡散され、世界中で数億回再生を叩き出す野良エンタメの怪物へと変貌していった。