昭和の妖怪・岸信介は何をしたのか?満州から安保改定、残された功罪とは一体何なのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。

「昭和の妖怪」――この尋常ならざる異名は、彼の底知れぬ権謀術数と、いかなる窮地からも蘇る不死身の政治生命に由来する。岸信介という政治家の生涯を一言で表すなら、それは「権力への不屈の執念」と「国家設計への冷徹なリアリズム」の同居に他ならない。

彼が果たした最大の歴史的役割は、戦前と戦後という断絶された二つの時代を一本の線でつないだことにある。旧満州国での統制経済の構築、敗戦直後の巣鴨プリズンでの収監、そして不死鳥のごとく政界に復帰して達成した日米安全保障条約の改定。これら劇的な出来事のすべてに、彼の計算と強固な意志が脈打っていた。昭和の日本が辿った栄光と挫折、そして再起の光影そのものが、彼という個人の足跡と重なり合う。