最高の素材があっても、それを活かす職人の技がなければ最高の一杯は生まれない。福井のそば職人たちは、在来種特有の個性を引き出すために極限まで細部へこだわる。
多くの名店では、使う分だけをその日の朝に石臼でゆっくりと挽き込む。摩擦熱によって繊細な香りが飛んでしまうのを防ぐためだ。水回しから延し、切りに至るまでの全工程において、気温や湿度の変化を見極める研ぎ澄まされた勘が要求される。
また、福井のそばはツナギ(小麦粉)を一切使わない「十割」や、二割程度のツナギにとどめた「二八」が主流だ。繋ぎにくいとされる在来種を、見事な美しさと喉越しを持つ麺に仕上げる職人の手技は、まさに芸術の域に達している。