科学的アプローチの基本は、実験や観測によって説を「検証」または「論破(反証)」することにある。科学哲学者カール・ポパーが提唱した「反証可能性」の概念に基づけば、科学的理論とは「間違っている可能性を検証できるもの」でなければならない。
ここに、この仮説の最大の罠がある。「世界は5分前に出来た」という言説に対して、どんな反論を突きつけても無駄に終わるからだ。たとえば「カーボン14年代測定法で1万年前と判定された土器がある」と反論したとしよう。仮説の支持者はこう微笑むだけだ。「その土器も、放射性炭素の減衰率も、すべて5分前にその状態で配置されたのだ」と。どのような証拠を提示しても、それは「5分前に巧妙に作られた証拠」として回収されてしまう。論理的に隙がなく、反証が不可能な構造そのものが、科学者を苛立たせる最大の理由だ。