運行の舞台となったのは、名峰を望むレーティッシュ鉄道の線路網だ。プレダ駅からアルバニュー駅までの約25キロメートルの区間は、急激な標高差を下るループトンネルが連続する、線形設計上もっとも過酷なゾーンとして知られる。
同社の最高経営責任者(CEO)を務めるレナート・ファシアティ氏は、実施後のインタビューで「このルートを選んだのは単なるパフォーマンスではなく、我々の技術力とアルブラ線の美しさを世界に示すためだった」と明かしている。高さ数十メートルにも及ぶランドヴァッサー高架橋を1.9kmの列車がまたぐ光景は、完璧な運行計画とインフラ管理があって初めて実現した芸術的な一瞬であった。