映画史にその名を轟かせる名作の多くは、性や肉体の表現をめぐるタブーへの挑戦から生まれた。大島渚監督の『愛のコリーダ』はその最たる例だ。実際の事件を題材に、極限の愛欲と死を描き切った本作は、国内外で激しい検閲論争を巻き起こした。しかし、その妥協なき映像美は海外でも高く評価され、世界的なカルト作品としての地位を確立した。
また、野村芳太郎監督の不朽の名作『砂の器』においても、宿命に翻弄される人間の儚さと生々しい肉体性が、物語の底流に流れる哀切なドラマを決定づけている。単なる刺激に終わらない表現の真実が、時代を超えて人々を惹きつけ続ける最大の理由である。