冬のスポーツとして絶大な人気を誇るフィギュアスケート。なぜ「フィギュア」という名がついているのか、その由来を知る人は意外に少ない。
この競技の起源は、滑走技術の正確さを競うために氷の上にスケート刃で幾何学的な「図形(figure)」を正確に描き出す「コンパルソリー・フィギュア(規定図形)」にあった。かつては滑走後の氷に残された円やエイトの軌跡そのものが厳格に審査されていたのだ。
国際スケート連盟(ISU)は1990年にこの規定種目を廃止し、競技はよりダイナミックなジャンプや芸術的表現力を競う時代へとシフトした。羽生結弦をはじめとするトップスケーターたちが氷上で見せる神業のようなパフォーマンスは、かつての幾何学的図形を描く時代から、まさに身体全体で音楽と感情の「輪郭」を描き出す総合芸術へと進化を遂げた証左といえる。