テレビ報道が繰り返し垂れ流したのは、入室してきた知事への握手拒否と、サッカーボールを蹴り上げる仕草、そして報道陣への恫喝とも取れる発言の数秒間だった。しかし、前後の対話には「チームの一員として共に知恵を絞ろう」という強いメッセージも含まれていたことは、当時のオンエアではほとんど削ぎ落とされていた。
報道メディアにとって、視覚的・情緒的に分かりやすい「悪役」の存在は格好のコンテンツだった。視聴者の怒りを喚起しやすい強烈なカットを連続して繋ぎ合わせる編集手法は、瞬く間に世論を沸騰させた。記者の間では暗黙の了解とされていた「オフレコ発言」の境界線が、大衆のセンセーショナリズムと視聴率至上主義の中でなし崩しに破壊された瞬間でもあった。