NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で演じた雉真稔役は、いまなお多くの視聴者の胸に鮮烈な記憶として刻まれている。昭和初期の激動の時代をひたむきに生きた好青年・稔の誠実な眼差しと、突然の戦死がもたらした喪失感は「稔さんロス」という社会現象まで巻き起こした。
その純度の高い演技は、映画『夜明けのすべて』でさらなる深化を遂げる。パニック障害を抱え、日々の生活に葛藤する青年という繊細な役どころに対し、彼は病の苦しみを記号的に描くのではなく、日常の些細な会話や視線の揺らぎのなかに静かに溶け込ませた。相手役の上白石萌音と紡ぎ出した距離感は、恋愛映画のクリシェを鮮やかに裏切る、真摯なヒューマンドラマの到達点として高い支持を集めた。
痛みを抱える他者への眼差し。その優しさと切実さが、観る者の傷口にそっと寄り添う。彼の演技には、現代人が無意識に求めている「救い」のようなものが宿っている。