見た目の可憐さは、まるでスタジオジブリの映画『猫の恩返し』に出てくるようなファンタジックなお菓子の世界を思わせる。しかし、どれほど外観が優れていても、当の猫が一口も食べなければ意味がない。人間のケーキと決定的に異なるのは、砂糖や生クリームの甘さではなく、「タンパク質の香気」で食欲を刺激する設計になっている点だ。
猫は甘味を感じる受容体がほとんど発達していない一方で、アミノ酸や脂質の匂いには極めて敏感である。そのため、表面をホイップクリームに見立てた無糖のギリシャヨーグルトやマッシュポテトで覆いつつ、内部には蒸したマグロや鶏胸肉の粗挽きがぎっしり詰まっている構造が多い。視覚で楽しむ人間と、嗅覚で歓喜する猫。双方の要求を高次元で満たす技術こそが、現代のペットスイーツの真骨頂と言える。