今大会の最大の呼び玉は、なんと言っても複数名存在する150キロ超の剛腕たちだ。スピードガンの数字が踊るたびにどよめくスタンド。しかし、日本野球機構(NPB)12球団のスカウト陣が見つめているのは球速表示の先にある「球質」と「再現性」である。あるパ・リーグ球団のベテランスカウトは、バックネット裏で静かにペンを走らせながらこう語る。「数字上の150キロと、打者が体感する150キロはまったく別物。リリースポイントの低さ、ホップ成分の多さ、そして何より勝負球を狙ったコースへ投げ切れる制球力があるかどうか。その三拍子が揃った投手こそが、秋のプロ野球ドラフト会議で1位指名を勝ち取る」。
なかでも注目を集める右腕は、指先にかかった際のノビが凄まじく、高めのストレートで空振りを量産するスタイルを確立している。変化球の精度も申し分ない。縦に鋭く落ちるスプリットと、打者の手元で消えるように曲がる高速スライダーのコンビネーションは、すでにプロの二軍レベルを凌駕しているとの呼び声も高い。一方で、しなやかな腕の振りと球持ちの良さでスカウトを唸らせる左腕の存在も見逃せない。力感のないフォームから突如として放たれるクロスファイアーは、強打者の内角を容赦なく抉る。上位候補と呼ばれる投手たちの投球フォームには、無駄な力みが一切なく、下半身主導の美しい連動性が備わっている。