写真の歴史において、人物を主題としたポートレート撮影は常に中心的な位置を占めてきた。昭和から平成にかけて活躍した篠山紀信のような巨匠たちが切り取ってきた鮮烈な人物像は、時代の空気感そのものを静止画に焼き付ける力を持っていた。日本写真家協会などの専門機関が長年培ってきた技術的知見や美学は、デジタル時代となった今もなお色あせることはない。
レンズの向こう側に立つ被写体モデルと、シャッターを切るフォトグラファー。両者の間にある緊密なコミュニケーションから生まれる一枚は、単に容姿を記録するにとどまらない。その人が持つ内面的なストーリーや感情の揺らぎまでをも描写する点に、この表現の真髄がある。