この希有な物語を生み出したのは、イラストレーター、作家、俳優として独自の存在感を放つリリー・フランキー氏だ。彼が手がけた絵本から始まった物語は、出版業界に大きなインパクトを与えた。数々の名作を世に送り出してきた小学館から刊行された原作絵本は、子どもたちの自由な想像力を育むと同時に、大人たちの傷ついた心に静かに寄り添う特別な作品として読まれている。
表面上は軽快なファンタジー・コメディの装いを取りながら、作品に脈打っているのは人間の弱さや身勝手さに対する深い洞察と愛着だ。リリー・フランキー氏の視線は決して悪者を単純に排除しない。誰もが抱えるずるさやコンプレックスを優しく肯定し、不完全な者同士が鍋の底で肩を寄せ合って生きる姿を描き出す。その温かい視線が、読者の胸を強く打つのだ。