一方で、十代の鮮烈なデビュー以来、日本映画界のトップランナーとして走り続けてきた宮沢りえ。彼女のキャリアにおける大きな到達点の一つが、映画『湯を沸かすほどの熱い愛』での圧巻の演技である。余命宣告を受けながらも家族を包み込む母の強さと切なさを演じ切り、数々の映画賞を総なめにしたその姿は、日本中を深い感動で包み込んだ。
スクリーンの前に立つだけで場を支配する空気感、感情の微細な揺らぎを目線一つで表現する技術は、作品を重ねるごとに凄みを増している。単に美しい女優としてではなく、人間の生と死、愛おしさと滑稽さをまるごと引き受ける演技派として、彼女は名実ともにトップの地位を確立した。その表現への渇望は、夫である森田剛との対話の中でも日々更新され続けている。