狂気と愛嬌が交差する男、モグライダーともしげの底知れぬ実像にまつわる役立つ知識を詳しく紐解きます。

モグライダーの漫才は、演芸の歴史において極めて特異な発明だった。2021年のM-1グランプリ決勝で日本中に衝撃を与えたあのスタイルは、今なお進化を続けている。台本を忠実に再現するのではなく、ともしげの言い間違いや勘違いを相方の芝大輔がその場で瞬時に捌き、極上のエンターテインメントへと昇華させていく。

「日本一うまい猛獣使い」と称される芝の手綱さばきがあってこそ、彼の突拍子もないエネルギーは笑いへと着地する。舞台裏では、ネタ合わせをあえてガチガチに固めないという徹底したルールが存在する。ともしげの純度100パーセントの焦りや困惑を鮮度の高いまま舞台上に持ち込むこと。それが、観客の腹を抱えさせる唯一無二のグルーヴを生み出す秘訣なのだ。