こうした繊細な文字表現のルーツを辿ると、テキストコミュニケーションの黎明期に行き着く。1982年、カーネギーメロン大学のスコット・ファールマン教授がオンライン掲示板の誤解を防ぐ目的で「:-)」という記号の組み合わせを提案したことが、横向きエモティコンの原点とされる。
その後、1990年代後半の日本において、IT・情報通信業の急速な発展とともにモバイル文化が開花した。NTTドコモのiモード開発において栗田穣崇氏らが打ち出したドット絵風の絵文字は、限られた画面で感情を直感的に伝える画期的なイノベーションとなった。これと並行して、国内のアスキーアート(AA)文化やPC掲示板では、日本語の全角記号や特殊文字を駆使した多様な顔文字が独自に発展。横を見なくても直感的に表情が理解できる日本独特のレイアウトスタイルが確立された。
現代のデジタルコミュニケーションで愛される隠れ系デザインは、まさにこの数十年間に及ぶテキスト文化の創意工夫が集約された結晶と言える。