取締役会における大和田暁常務への糾弾劇は、TBSテレビのドラマ史に残る名場面となった。旧産業中央銀行出身の派閥トップとして行内で幅を利かせていた大和田に対し、半沢直樹は一切の妥協を許さず、不正の証拠を突きつけた。常務の座から引きずり下ろし、涙の土下座を迫った行為は、正義の勝利として誰もが拍手喝采を送ったはずだった。
しかし、組織のトップである中野渡謙頭取の視点は異なっていた。大和田の処分と同時に言い渡された半沢の東京中央証券への出向。一見すると功労者に対する理不尽な打擲に見えるこの裁定こそ、旧東京第一銀行出身者と旧産業中央銀行出身者が激しく対立する行内抗争を抑え込むための、頭取による究極の一手だったのだ。