鶯谷駅の攻略において最も重要なのが、北口と南口の選択だ。ホームに降り立った瞬間から勝負は始まっている。南口の改札を目指すならホームの上野寄り(南側)の階段を上り、北口を目指すなら日暮里寄り(北側)の階段を下りなければならない。
南口改札を抜けると、目の前に広がるのは開放的な跨線橋だ。左手に上野恩賜公園の緑を遠望し、眼下には何本もの線路が行き交う。寛永寺や言問通り方面へ向かうなら、迷わず南口を選択するのが正解だ。洗練された上野エリアの文化薫る佇まいと、下町の傾斜地が織りなす立体的な景観がそこにある。
一方、北口改札の扉の向こうはまったく異なる世界だ。平地の改札を出ると一転して、昭和のディープなネオン街や昔ながらの飲食店が密集する迷宮のような路地へと直結している。根岸の閑静な住宅街や文豪の史跡へ向かう場合は、この北口が最短アクセスとなる。
ここで最大の注意点がある。北口と南口を駅の外側から行き来しようとすると、長い跨線橋を上り下りするか、遠くの暗いガード下を迂回しなければならず、車椅子や大きな荷物を持つ旅行者にはかなりの負担となる。目的地が「根岸の歴史散策」なのか「上野公園方面へのアプローチ」なのかをあらかじめ確認し、ホーム上で正しい階段を選ぶことが、迷わずに目的地へアクセスするための決定的な隠れた鍵となるのだ。