今回取材に訪れたのは、都内近郊で創業半世紀を誇る老舗のプロショップだ。早朝の店内には、大工、内装工、電工たちがひっきりなしに来店し、店主と威勢の良い言葉を交わしていく。ネット通販の拡大で多くの店舗が苦戦を強いられる中、この店には連日長蛇の列ができる。その最大の理由は、Webには一切掲載されない「限定手打刃物」や「試作段階のカスタム工具」の独占入荷ルートにある。
店主によれば、金属加工の聖地として知られる燕三条の鍛冶職人が手掛ける希少な鑿(のみ)や鉋(かんな)は、生産数が限られるためオンラインショップに並ぶことはまずないという。「本物の職人は手に取った瞬間のバランスで買いを決める。だからこそ、顔の見える対面販売でしか渡せない品がある」と店主は語る。常連のベテラン職人にしか明かされない入荷ノートの存在こそが、プロを惹きつけてやまない真の理由だ。