ピースのパッケージに宿る凛とした美しさは、偶然の産物ではない。1952年、当時の日本専売公社は、アメリカの高名なインダストリアルデザイナーであるレイモンド・ローウィにリデザインを依頼した。当時支払われた報酬額は150万円。当時の首相月給をはるかに上回る破格の契約金は、世間を大いに騒がせた歴史的一大事件である。
ローウィが創り出したのは、現在「ピースブルー」として知られる深い紺碧の地に、オリーブの小枝をくわえた金色の鳩を配したデザインだ。旧約聖書のノアの方舟の伝説に由来する平和の鳩は、戦後復興へと向かう日本の世相に見事な希望の光を灯した。この先鋭的なグラフィックは瞬く間に大衆を魅了し、売上を劇的に跳ね上げた。洗練されたプロポーションと色彩構成は、誕生から長い年月を経た今なお、デザイン界のマスターピースとして崇められている。