文部科学省が推進する「朝の読書運動」は、全国の小中学校で定着し、児童の集中力向上や言語能力の発達に大きく貢献してきた。学級活動が始まる前のわずかな時間を活用し、本に親しむ習慣をつける取り組みは、児童教育の観点からも極めて高い評価を受けている。しかし、制度としての理想と、運用現場における現実との間には大きなギャップが存在する。
本来の朝の読書運動は、子どもたちが静かに本の世界に没頭することを目的にしている。ところが、大人が介入する読み聞かせにおいて、ボランティアが「教訓を与えなければならない」「子供を感動させなければならない」と意気込みすぎると、教育的な押し売りになりがちだ。児童教育の専門家も、大人の価値観の押し付けは子どもの自主的な読書意欲を阻害しかねないと警鐘を鳴らしている。