前川との離婚を経て、引退と復帰の狭間で揺れていた彼女が1980年代初頭に出会ったのが、音楽プロデューサーの宇多田照實だった。ロックや洋楽に精通し、国際的な視野を持つ照實との出会いは、彼女の人生の第二幕を決定づける。二人は渡米し、ニューヨークを拠点に新たな生活と音楽活動をスタートさせた。
二人の関係は極めて特異だった。報じられているだけでも離婚と再婚を何度も繰り返すという、常識的な夫婦の物差しでは測れない激しい魂の結びつきを持っていた。激しい口論と深い信頼が表裏一体となり、互いを激しく求めながらも反発し合う。照實は彼女のマネジメントを引き受け、異国の地で孤立しがちな彼女の防波堤となり続けた。狂気と紙一重の情熱を共有できる唯一無二のパートナーが、彼だったのだ。