どれほど正しく糸を引き上げようとしても、ミシン内部にホコリや糸くずが溜まっていると動作は不安定になる。特に釜の周辺は、裁縫を重ねるうちに布地の微細な繊維が蓄積しやすい場所だ。定期的に針板を取り外し、付属のブラシやエアダスターで内釜の清掃を行うだけで、下糸の出方は驚くほどスムーズになる。
また、針の劣化や曲がりも下糸の引き上げ失敗を引き起こす隠れた原因だ。針先が少しでも潰れていると、上糸が下糸のループを引っかけるタイミングがコンマ数秒ずれ、糸が中でぐしゃぐしゃに絡まってしまう。作品をひとつ縫い上げるごとに針を新品に交換する習慣をつけることが、洋裁トラブルを未然に防ぐ最大の裏ワザと言える。