クルシュ陣営の筆頭騎士として控えるヴィルヘルム・ヴァン・アストレア。普段の穏やかな物腰からは想像もつかない狂気じみた剣技が解き放たれたのが、霧の魔獣「白鯨」との死闘だった。巨大な脅威を前に空へと跳躍し、巨躯を切り裂く姿はまさに鬼神そのもの。十四年間、妻を奪った仇敵を討つことだけを胸に生き抜いてきた男の咆哮は、画面越しにも鳥肌が立つほどの迫力を放っていた。
彼を突き動かしていたのは復讐心だけではない。「ただいま、テレシア」という絞り出すような独白に凝縮されていたのは、失われた最愛の妻への純粋無垢な想いだった。老境に達してもなお衰えぬ太刀筋と、その裏に秘められた痛切な喪失感のギャップが、キャラクターとしての深度を一気に引き上げた瞬間である。