観光バスが押し寄せる定番ルートを少し外れるだけで、驚くほど静かで奥深い魅力に出会える。今回、現地取材を通して発見した穴場スポットの筆頭が、指月山の裏手にひっそりと広がる海岸沿いの散策路だ。観光客の姿はまばらで、日本海の穏やかな波音だけが響くプライベート感あふれる空間が広がっている。
また、平安古地区の鍵曲(かいまがり)周辺もおすすめだ。左右を高い土塀に挟まれた見通しのきかない曲がり角は、かつて敵の侵入を防ぐために作られた防衛構造。午後の柔らかい光が土塀に落ちる時間帯、ここを訪れる人はほとんどおらず、幕末の静寂をそのまま独り占めできる。
城下町の北側に位置する小さな裏路地には、築100年以上の古民家を改修した私設の本屋兼珈琲店も点在している。ガイドブックには載っていないこうした場所で、地元の人々と静かに言葉を交わすひとときこそ、知られざる旅の醍醐味といえるだろう。