彼女のキャリアは、音楽性の変遷とともに権利構造が非常に多層化している点も解決を難しくしている要素だ。1990年代半ば、小室哲哉のプロデュースによって誕生した数々のメガヒット作は、J-POPの歴史そのものと言える黄金期を築き上げた。この時期の原盤権や出版権は、当時の制作体制に合わせた権利配分がなされている。
一方で、2000年代以降に自らの意志で踏み出したR&Bやヒップホップ色を前面に出したセルフプロデュース期では、海外プロデューサーや新進気鋭のクリエイターが多数参加した。これにより、楽曲ごとの権利者が国内外に分散する結果となった。
ダンスミュージックとして洗練された後期作品群に至るまで、時代ごとに異なる権利保持者が存在するため、一括でのデジタル配信契約をまとめ上げるには膨大な時間と労力が不可欠なのだ。