商人の価値は、儲けた金をどう使うかで決まる。
彼は海外貿易や中央での金融事業で得た膨大な富を、タンスに眠らせておくような真似はしなかった。彼が力を注いだのが、地元・摂津および河内地域における大規模な治水工事と新田開発である。頻繁に氾濫を引き起こしていた大和川や木津川の治水事業に私財を投じ、治水と物流ルートの確保を同時に達成してみせた。
川の氾濫を防ぐことで農地の収穫量は飛躍的に跳ね上がり、物流がスムーズになることで平野郷全体の商業活動が活性化した。単なる慈善事業ではない。インフラを整えることで地域全体のパイを広げ、そこから持続的なリターンを得る。まさに先見の明に満ちたソーシャル投資の走りがここにあった。