治療の現場を支える製薬・ヘルスケア産業の技術革新も目覚ましい。近年急速に普及しているのが、複数の異なる降圧薬を1錠にまとめた「配合剤」だ。カルシウム拮抗薬とARBを一体化させることで、患者が飲むべき錠剤の数を減らし、飲み忘れや服薬過誤を劇的に減少させる成果を上げている。
さらに、医療従事者向けポータルサイトm3.comなどでも活発に議論されているのが、デジタルセラピューティクス(DTx)と呼ばれる「治療用アプリ」の導入だ。日々の家庭血圧データ、食事内容、運動量をアルゴリズムが解析し、患者一人ひとりにパーソナライズされた生活指導をリアルタイムで提供する。これにより、薬の効き目を最大化し、最小限の薬量で適正値を維持するハイブリッドな治療体系が整いつつある。
将来的には、数ヶ月に1度の注射で血圧をコントロールする核酸医薬や、カテーテルを用いて腎交感神経を凝固・遮断する非薬物療法(腎デナベーション)など、患者の選択肢はかつてない広がりを見せている。