全身毒性の懸念が払拭される一方で、口腔内の局所的な影響については看過できない臨床データが存在します。代表例が「口内炎 原因 歯磨き粉」と「味覚障害 歯磨き粉 理由」という2大トラブルです。
ラウリル硫酸ナトリウムは陰イオン(アニオン)界面活性剤に分類され、極めて高い脱脂力と起泡力を誇ります。この性質が、歯垢や食べかすを包み込んで洗い流すメリットを生む反面、口腔内を守っている糖タンパク質の保護膜(ムチン層)まで剥がしてしまうデメリットを併せ持ちます。ノルウェーのオスロ大学をはじめとする複数の臨床研究において、再発性アフタ性口内炎の患者がラウリル硫酸ナトリウム不使用の歯磨き粉に変更したところ、発症頻度や痛みの強さが有意に減少したと報告されています。粘膜バリアが破壊された状態の組織に強い刺激が加わることで、微小な炎症が引き起こされやすくなるわけです。
さらに、歯を磨いた直後にオレンジジュースを飲むと強い苦味や渋みを感じる現象(いわゆるオレンジジュース効果)も、ラウリル硫酸ナトリウムの化学的特性によるものです。舌の表面にある味蕾(みらい)細胞の甘味受容体が一時的に麻痺し、同時に苦味を感知する受容体の感度が高まることで、一時的な味覚の変容が発生します。これは数十分で元に戻る一時的な現象ですが、毎食後のブラッシングで味覚に違和感を覚える人は、配合成分による粘膜刺激を疑うべきサインといえます。