注射の痛みに関して、インターネット上や民間伝承には医学的に逆効果となる誤った対処法が散見されます。無意識に行っている行動が、かえって痛みを何倍にも増幅させているケースは少なくありません。 まず最も多い誤解が、「痛みを散らすために奥歯を強く噛みしめる」という行為です。咬筋(顎の筋肉)を収縮させると、三叉神経を介して脳の警戒レベルが一気に跳ね上がり、全身の骨格筋が強張ります。結果として穿刺部位の抵抗が高まり、刺入痛も注入痛も激化します。注射時は「口を半開きにして、上下の歯を触れさせない」のが正解です。 次に危険なのが、「前日の極端な水分制限や当日の冷え」です。健康診断の採血前に水分を一切摂らない人がいますが、脱水状態になると血管内の血液量が減少し、静脈が細く収縮して血管が逃げやすくなります。これにより、針を刺した後に血管を探る「グリグリ」という強烈な痛みの原因になります。医師から絶水の指示がない限り、検査の1〜2時間前までに常温の水や白湯をコップ1〜2杯飲んでおくことが、スムーズで痛みのない採血への最短ルートです。 また、「インフルエンザ予防接種のあとによく揉む」という古い習慣も明確な誤りです。現在のガイドラインでは、皮下注射も筋肉注射も「穿刺部位は揉まずに軽く押さえるだけ」が標準プロトコルです。強く揉みほぐすと毛細血管を傷つけて内出血を起こしたり、薬液が急速に広がって局所の炎症反応(赤み・腫れ・激痛)を悪化させたりします。
注射が痛くない裏ワザ!息の吐き方と視線で痛みを消す最新医学