昔からまことしやかに語り継がれてきた「焼き芋は皮ごと食べればおならが出ない」という知恵袋的な教えは、現代の機能性成分研究によって見事な科学的根拠が証明されています。その鍵を握るのが、さつまいも特有の成分である「ヤラピン」と、皮周辺に集中する消化酵素です。
さつまいもを生で切った際、断面の皮のすぐ内側から滲み出てくる白い乳液状の成分がヤラピン(樹脂配糖体の一種)です。ヤラピンには腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を適度に促し、便を柔らかく保つ緩下作用があります。熱に非常に強く、じっくり焼き上げてもその機能が失われない点が大きな強みです。
皮ごと摂取することで、ヤラピンが腸内での内容物の移動をスムーズにし、でんぷんが腸内の一箇所に異常滞留して異常発酵を続けるのを未然に防ぎます。さらに、皮のすぐ下にはでんぷん分解を助ける酵素群やポリフェノール(クロロゲン酸など)が高濃度に含まれており、小腸段階での消化吸収率を高めて大腸へ送られる未消化でんぷんの絶対量を減らしてくれます。「皮を捨てて甘い果肉だけを食べる」行為こそが、皮肉にもガスを増やしやすくする最大の一因です。