両作を隔てる半世紀の歳月を超えて浮き彫りになるのは、「カムイ」という言葉が持つ重層的な意味合いと、過酷な世界を生き抜く個人の尊厳である。単なる語感の類似ではない。どちらの物語も、社会の周縁に追いやられた者たちが自らの意思で野山を駆け、国家や組織といった巨大なシステムに力強く抵抗する構図を共有している。
殺伐とした逃亡生活の中で鋭敏な野生の勘を研ぎ澄ます主人公像や、一切の妥協を排した緻密な生活描写、そして自然界の残酷さと美しさを同列に捉える視線。これらは前者が築き上げた金字塔的なアプローチであり、後者へと確実に受け継がれた文化的遺伝子に他ならない。絶対的な善悪が存在しないカオスな世界観もまた、両者に共通する深みを与えている。