彼女の歩みを語る上で欠かせないのが、初任地であるNHK熊本放送局での濃密な日々だ。九州の豊かな自然と温かな人々に囲まれる一方で、自然災害の爪痕が残る地域での復興取材や、地域社会が抱える構造的な課題に真っ向から対峙した。豪雨被害の現場では泥にまみれながら被災者の声にじっと耳を傾け、時には言葉を失うほどの痛みを共有する。そうした泥臭い経験の蓄積が、彼女の中に骨太な報道ジャーナリズムの根幹を形作った。
その後、西日本の大拠点である大阪へと異動。都市部特有のスピード感と複雑に入り組んだ事件・経済報道の渦中に身を置きながらも、熊本時代に養った「現場第一主義」の目線がブレることはなかった。街頭インタビューや地域密着のルポルタージュにおいて、相手の警戒心を自然と解きほぐしてしまう温かい眼差しは、地方局の現場で汗を流し続けた歳月の賜物といえる。