算定基礎届を作成する上で最も重要なのが、「対象となる報酬の範囲」と「支払基礎日数」の正確な把握です。これらを誤ると、標準報酬月額が狂い、秋以降の給与計算で過不足が生じる直接の原因となります。
報酬に含まれるもの・含まれないものの明確な境界線
社会保険における「報酬」とは、労働の対償として事業主から受けるすべてのものを指します。労働基準法上の賃金とは範囲が一部異なるため注意が必要です。
- 報酬に含まれるもの(算入):基本給、役職手当、家族手当、住宅手当、資格手当、残業手当(時間外・休日・深夜割増)、通勤手当(非課税限度額内であっても全額算入・定期代含む)、年4回以上支給される賞与、現物給与(食事・社宅の貸与等を標準価額で換算したもの)
- 報酬に含まれないもの(除外):年3回以下の賞与(賞与支払届の対象)、結婚祝金や弔慰金などの恩恵的給付、実費弁償的な出張旅費・日当、退職金、解雇予告手当
特に実務で誤りがちなのが「通勤手当」です。所得税法上は非課税となる月15万円までの交通費であっても、社会保険の報酬算定では全額を合算しなければなりません。また、6か月定期代などを一括支給している場合は、支給月のみに全額計上するのではなく、各月に1か月分ずつ配分(月割り)して算定対象とするのが鉄則です。
支払基礎日数(しはらいきそにっすう)のカウント方法
支払基礎日数とは、給与計算の対象となった日数のことです。給与の支給形態によって計算方法が厳格に分かれます。
- 完全月給制(欠勤控除がない場合):暦日数が支払基礎日数となります(4月なら30日、5月なら31日、6月なら30日)。土日や祝日などの休日も含みます。
- 日給月給制(基本給は月給だが欠勤控除がある場合):就業規則で定められた「所定労働日数」から「欠勤日数」を差し引いた日数が支払基礎日数となります。
- 日給制・時給制:実際に労働した実労働日数がそのまま支払基礎日数となります(有給休暇を取得した場合は有給取得日数を加算)。
一般の被保険者の場合、各月の支払基礎日数が「17日以上」ある月のみを対象として平均額を算出します。もし4月が15日、5月が20日、6月が21日だった場合、15日の4月は計算から除外し、5月と6月の2か月間の合計報酬を2で割って平均額を求めます。3か月とも17日未満の場合は、従前の標準報酬月額を引き継ぐ例外措置が取られます。