静寂を破る激震は、前触れなく訪れる。プレート境界で起きる海溝型地震とは異なり、内陸の地殻浅くで発生する直下型地震は、震源の真上に位置する市街地を容赦なく直撃する。揺れが到達するまでの猶予は事実上ゼロ秒だ。
政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が公表する長期評価データは、全国の主要断層帯における活動確率を定期的に更新している。都市直下に位置する断層がひとたび動けば、震度7の局所的な激震域が帯状に出現し、耐震強度の低い木造住宅やインフラを一瞬で破壊する。最新の3次元地下構造探査や航空レーザー計測により、これまで平坦と見なされていた微高地や台地の縁辺部にも、危険な変位地形が次々と浮かび上がってきた。
地盤の強さだけに頼る過信は危険だ。断層面を境にして地盤が左右・上下に数メートル単位でずれる地表変位は、免震構造すら破壊しかねないエネルギーを持つ。自宅や勤務先がどの断層セグメントの直上、あるいは周辺に位置しているのか。最新データに基づく危険エリアの正確な把握こそ、最初にして最大の防壁となる。