ネットカルチャーの歴史に深く刻まれたあたまのわるいひと。その起源は、2017年5月にイラストレーターの2b鉛筆(micorun)氏がX(旧Twitter)上に投稿した1枚の比較画像に遡ります。タイトルは「頭の良い人と頭の悪い人の物の見方の違い」でした。
元のイラストでは、ひとつの「リンゴ」を前にした両者の思考回路が鮮烈なコントラストで描かれています。頭の良い人がリンゴを見つめ、品種名や原産地、流通構造、さらには万有引力や神話のモチーフに至るまで多角的な知識を巡らせているのに対し、あたまのわるいひとは口を半開きにしてよだれを垂らしながら、「ばなにゃ…?」「りんご!」とただ知覚した単語を呟くだけという衝撃的な構成でした。
この極端かつ毒気のあるユーモアが爆発的な共感を呼び、瞬く間に無数のパロディ画像が作成されました。その後、クリエイターの音宮すず氏が手がけたショートアニメーションによって独特の脱力ボイスと動きが吹き込まれ、LINEスタンプや各種コラボグッズが展開される社会現象へと昇華したのです。一見すると単なるギャグですが、このイラストは「物事を多面的に捉えられない思考の単純化」という人間の本質を鋭く風刺しています。