バイタルサインは循環器や呼吸器の数値だけに留まりません。脳機能と全身状態を反映する「意識レベル」の評価は、急変予測における生命線です。本邦では主にJapan Coma Scale(JCS)が広く用いられ、国際標準や外傷現場ではGlasgow Coma Scale(GCS)が採用されます。
JCSは「覚醒している(1桁)」「刺激に応じて一時的に覚醒する(2桁)」「刺激しても覚醒しない(3桁)」の3段階をさらに細分化した3-3-9度方式で、直感的な情報共有に優れています。一方のGCSは、開眼(E)、言語反応(V)、運動反応(M)の3要素を点数化し、合計3〜15点で定量評価します。どちらを用いる場合でも、「普段の様子とどう違うか」という質的な変化を添えることが極めて大切です。
また、高齢者のバイタルチェック注意点として最優先で留意すべきなのが「潜在的代償能の低下」と「症状の非典型性」です。高齢者は動脈硬化や自律神経機能の低下により、起立性低血圧を起こしやすく、感染症に罹患しても高熱が出ない「無熱性肺炎」や「微熱のみの重症感染症」が珍しくありません。「熱がないから大丈夫」「血圧がいつも通りだから平気」と過信せず、活気の有無、食欲、眼光、皮膚の乾燥度(ツルゴール反応)を総合的に見極める必要があります。